にゃんこ先生の人間観察

にゃんこ先生の人間に対する厳しくて愛情深い眼差しを綴っています

にゃんこ先生自己紹介

にゃんこ先生と呼ばれる私は、孤児である。

母は、自由気ままに生きているたくましい猫で、私の兄弟は4匹。

母は、私たちを柵がある空き地の角に生み落として、育てていた。

兄弟の2匹は母にくわえられて、空き地の雑草が生い茂るなかに保護されたのだが、私と真っ白な兄弟は秋の日差しの強い日の下に残されたままだった。

母猫は戻ってこなかった・・・。

捨てられたのだ・・・。

最初、柵越しから人間が私たちの写真をとっていたが、私たちがぐったりしているのを見ると、人間は来なくなった。

そして真っ白な兄弟猫は、空腹と脱水症状で鳴き叫ぶようになった。

その鳴き声は悲痛でかなり遠くまで響きわたった思う。

 

ある日、一人の人間が柵越しにのぞきこんでいた。

柵を飛び越えてこちらにきたいようだが、柵は高くよじ登らないと無理なようだった。

私たちの目の前に大きな箱があった。

その人は、空き地に隣接している一軒家の庭に入って、花の苗が植えられた花壇の上にかぶせてあった猫の糞防止用の四角い網の箱だった。その箱を柵越しにおろしていたのだった。

私の兄はもはや鳴き声もだせず、口から泡をふいていた。

私は箱のふちによろよろと乗ったのだ。

必死じゃない。なんだこれ?そんな気持ちだった。

すっと箱が宙に浮き、私は人間の手の平の中にいた。

 

その日から私は人間を飼うことになったのだ。

飼い主の私は、その人間の名前をPと名付けた。

私が飼い主となった日の翌日、真っ白な兄の姿は空き地にはなかった。

カラスか人間に始末されたのだろう。

その後、Pは空き地の近くのカフェでコーヒーを飲んでいた時、私の母がきれいな毛並みの若いオスと一緒にカフェの庭を横切ったのを見たそうだ。私の兄弟の姿はなかったという。

Pは私にとってどうでもよい話をしたがる。

私はPの飼い主として、母なしでここまで立派に生きているのだから。

 

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